
1400gのおもちゃ箱
媒介者の血脈、及びその結末
シナリオログや、テキスト版など
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人数
2人
所要時間
キーパリングに問題がなければ3時間以内で終わる。
シナリオ概要
引っ越した友人の家を訪れるが、そこはヴィブールの棲まう館だった。
その細菌に感染した探索者たちは、友人の死の謎を探るとともに、自らの生存をかけて戦う。
推奨技能
医学or組付きor薬学。これをどちらかの探索者が持っていればいい。持っていなくても問題ない。
KPは同フォルダ内のログを合わせて読んでおくことを推奨する。また、マレウス・モンストロルムを所持していた方がいい。
本編
友人、あるいはなんらかの関係をもつ、柳武彦の家へ招待される。
探索者達が館の前にいるところから始める。
館の外見は明らかに廃墟のようである。平屋建ての洋風建築。高さがない分幅は有る。
メールを見て住所を確認すれば、場所に間違いはない。。
インターホンは機能しておらず、押しても鳴らない。
庭は荒れ果てていて、雑草が生え放題になっている。
・電話をしてみたいと提案された場合、家の奥、寝室から電話の着信音が聞こえる。
・<聞き耳>ロールで家の奥の方からなにかがギシギシと音を立てているのがわかる。木材の立てる音とわかっても良い。
これは柳の腰掛けている椅子が揺れて立てている音だ。
・入り口から伸びている足跡は、奥の一室(寝室)へと続いている。
寝室に向かわず別の場所を探索しようとした場合は、あくまで探索者たちの目的は柳に会うことであることを再確認させる。
そうすれば寝室へ向かってくれるはずだ。
・寝室
ヴィブールの感染者となった柳が椅子に腰掛けている。
東に向いた窓から差し込む日光が眩しい。
彼はそこに座っていた。
彼は青色の涙を流していた。
その眼窩には眼球などなく、ただただ空の穴から青い液体がこぼれだしていた。
正気度喪失は1/1d4+1。
この描写の後、<CON*3>or<CON*2>ロールを行わせる。
成功でヴィブールの細菌の感染を逃れる。失敗でヴィブールの細菌に感染する。
死体に<医学>を行うことで、彼は死んでしばらく経っているにも関わらず死後硬直などの痕跡が見られないことがわかる。
つなり、死んでなお活動している痕跡があるということだ。
正気度喪失は0/1d3。
この家で探索できる場所は、キッチン、ダイニングルーム、応接間、書庫。
加えて広間と寝室だが、シナリオが進行しない限りは情報がない。
・キッチン
食器棚、テーブル、流し台がある。
食器棚の食器は使われている痕跡がない。
テーブルは埃が積もっており、指でこすれば埃がつく。
シンクの近くに寄ると、何か音が聞こえる。
<聞き耳>で地下に伸びる水道を伝って何かの蠢くような音が聞こえる。
・ダイニングルーム
机の上に、何かのメモが置かれている。
<誰かのメモ>
放射能汚染の恐ろしさについて雑文が並べられており、
この一帯の放射線量を調べていたらこの館に行き着いた、と書かれている。
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感染の兆候は、突然の咳と頭痛。
奴から生まれる細菌の感染を取り除くには、奴の排泄物と感染者の血液が必要だ。
血液はまだ変化して日が浅い者から取り出す必要がある。
・応接間
この部屋のみ、日光が差していない。
壁一面を覆っているカーテンのためだとすぐに気づくだろう。
カーテンを開けると、そこには窓などないと気付く。
壁一面にはたくさんのメモが貼られている。その中で一番新しいものは、柳の文字で書かれている。
彼は採血を間に合わせることができなかったらしい。
その無念が綴られている。
新たな媒介者へ。君が最後の媒介者であることを祈る。
柳 武彦。
全てメモの内容を集積すると、結局のところ血と排泄物が必要と書いてある。
これらの積み重ねによって、こういった結論に至ったのだろうとわかる。
また、何個か前のメモにはこのようなことが書かれている。
<誰かのメモ2>
この細菌の感染は24時間を基準として一度しか行われない。
これは、細菌の性質というよりは、我々の体のサイクルによるものだ。
何日も晒され続けなければ・・・今は考えても仕方ないことだが。
また、テーブルの上にはコーヒーメーカー、注射器、ハンマーと何重にも重ねられた黒いビニール袋がある。
・書庫
大きな本棚以外に気になるものはない。
<図書館>でここにある本は手付かずのままに放置されていることがわかる。
また、学術書の中に一つだけ小説があるのを見つける。
シャーロック・ホームズの小説である「サセックスの吸血鬼」だ。
柳の血液を採取しようとすると、寝室に彼がいないことに気付く。
家全体を探すと、入ってすぐの広間の絨毯が捲られている。
探索者達は地下へ進んで行くことになる。
その最奥で蠢いているものがある。
ヴィブール(マレモンP143)との対面になる。
以下の記述を読み上げる。
つやのない黒い覆い、毛皮のようだが、合成素材に似たものが
瘤だらけの洋梨に似た胴体を覆っており、その小さな触手が時々なでたり引き攣ったりする。
その身体に唯一開いた大きな穴からは、白熱する何か青い石が出てきている。
そして、そのモノはざわざわと揺れ、君たちを一つ目で見つめる。
その周囲には蛆のような何かが動いている。
その中に立ち尽くしているのは青い涙を流す柳の姿だ。
<アイデア>ロールでこれらの数がメモの数と同じであることが分かる。
正気度喪失は非感染者は0/1d3、感染者はこれに固定値で+1。
ヴィブールにとって探索者は脅威ではないが、眠りを妨害することに対しては厳しい。
自らの器官とした柳を利用して探索者が近づいてくるのを妨害してくる。
ヴィブールの器官と化した柳との戦闘になる。
ヴィブールの側に近づかない限り、彼は攻撃してこない。
逃走時は判定は不要となる。気絶した探索者を引きずって行っても、手出しはしない。
実質的に耐久値は無限であり、気絶もしない。彼の攻撃はこぶし50、1d3+1d4が適切だろう。
採血を行うのには<医学><組付き><薬学><DEX*3>などのロールが必要だ。
白熱する青い石をハンマーで砕き、ビニール袋に集めるのには1ターンかけて移動する必要がある。
<DEX*5>ロールで柳の妨害を掻い潜って移動できたかどうか判定する。
柳と相対している探索者がいる場合はロールの必要はない。
石は高熱であり、触れば火傷してしまうだろうことを伝える。
これらの素材を集め、薬を摂取すればエンディングとなる。
・エンディング例
人数とシチュエーションに合わせて以下のエンディングを演出する。
1.感染し、治療法を服用して帰る。
薬を服用すると、君はそのまま倒れてしまう。
目覚めると、そこは病院だった。
側にいた看護師に諸々の説明を受ける。
TVをつけると、
「先日の局地的災害の続報です。」
「●●町での地盤沈下により、家屋が倒壊しました。」
「その家屋を捜査していた警察の車両も巻き込まれ、死傷者が多数・・・」
「警察は直前の通報によって駆けつけたようですが、詳細はわかっていません。」
というニュースが流れる。
2.感染せず、治療法を服用しないまま帰る。
帰る直前に、こちらへ向かってくる重機に気付く。
そのまま眺めていると、館を取り壊すようだ。
重機の一撃が館にぶつかる。
館の外壁部分が崩れ、壊れていく。
ガラガラと
地面が暗くなったことに気付く。
天気が悪くなったのだろうか?
そう思い上を見上げると、大きな塊が空にあることに気付く。
そのままその塊は落ちてきて・・・
重機もろとも館を押しつぶした。
目の前では地獄絵図が繰り広げられている。
最後に君を一瞥すると、その怪物はふっと姿を消した。
<回避>など振らせる必要なしに避けさせること。ここで死ぬのはつまらない。
ヴィブールを目撃していなければ正気度喪失を行わせる。
3.感染し、治療法を服用しないまま帰る。
1d10日後、探索者の体に異常が発生する。
自分の体が自分のものでないような感覚に陥る。
そして、無作為に体に痛みが走る。
有るはずのないものが見えたり、馨しい匂い、今まで見たことのない色彩が見える。
誰かの感覚が自分の感覚をどこかに押し出して、その体の自由はなくなってしまった。
どこを歩いているのかはわからない。
どこへ向かっているのかもわからない。
最後に意識のかけらが捉えたものは、館の下で見た、あの怪物の姿だった。
探索者は何処とも知れず姿を消す。ヴィブールの下僕となってしまう。
生還すれば1d6の正気度回復を行う。
また、治療薬を服用した者にKPの任意でなんらかの放射線障害を加えてもいい。
脱毛や、出血がなかなか止まらないなど、治療の期間が必要なものを選ぶといい。
・柳はあの状態で自分たちにメールを送れたのだろうか?
・本を置いたのは誰なのか?
・柳をあの館まで連れて行ったのは誰なのか?
このような謎が残っている。
これをキャンペーンの始まりとしてもいいだろう。